誇るぜキング

「こんばんは、ジョナサンです」
「こんばんは、銀塊です」
「いやー今いきなりテレビの画面が真っ暗になってなにも映らなくて音もしないもんだからびっくりしたよ」
「それで?」
「そしたらいきなり井戸みたいのが映ってさあ、そっから誰か出てくる気配だったからさあ、へへっこれは貞子だな、と思ってあわててリモコンでテレビを消したわけよ」
「それで?」
「まあそしたらなにごともなく消えたもんだからびっくりしてね。また付けたらまだ井戸のところでなんかやってるんだよね。よく見てみると一人の男が素振りしてるんだよね、変わったフォームで。なんか片足だけ長く上げちゃったりしてさあ」
「そのオチは世界のホームラン王に対して失礼じゃないか?」
「お後がよろしいようで」
「なんなんだよその落語風の終わらせ方は、後には誰もいないぞ」
「そうはいったってさあ、伝統芸能の形式を借りることで拙い話芸を少しでもカバーしようという作戦だよ」
「潔くないなあ。伝統芸能はそんなことのためにあるわけじゃなかろうに」
「おっ、はっつぁんじゃないか、どうしたそんなにあわてて」
「いやいや他に誰もいないから。僕は銀塊だし」
「おー、大家が家賃の催促に来た、それは払わなくちゃいけないよ。なにずっと払ってない?八ヶ月?おい聞いたか銀塊君、八ヶ月たあひどいね」
「無理矢理僕を話に組み込むなよ」
「話は変わりまして夜のことになります。夜になるってえとみんな寝ちまいやがるんですね、これが」
「着地点が見えないよ!」
「するってえと、みんな寝静まった後に一人の男ががさごそと起き出すわけなんですなー。そして夜な夜な棒を振り回してバランスを取ってね、まったく何をしてるんだか」
「結局王さん頼りの落ちかよ。お後がよろしいようで」